糊(粘着剤)の正しい選び方——冷蔵・冷凍・PP/PE・再剥離を実務で解説

糊(粘着剤)選定ガイド

シール制作において、糊の種類を適切に選ぶ必要があり、誤った選択をされると冷蔵環境でシールが剥がれる・シールを取った際に糊が残るなど意図していない結果に繋がります。そして、その多くは貼付温度・使用温度・被着体の取り違えに起因し、シール制作の過程で選択する糊を適切に選べば解消されます。


本ガイドは「強粘/低温/再剥離/冷蔵・冷凍」を軸に、結露するガラス瓶やPP容器、什器POPまでを実務視点で整理。失敗を防ぐ判断基準、ヒアリング項目、貼付試験を一気に把握できます。

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目次

1. シールが「剥がれる/角が浮く」根本原因——貼付温度・使用温度・被着体

シール制作では通常の場合、普通糊という種類が使われます。プリンター印刷では普通糊が通常となり、ネットプリントではお客様自身が選択しない限り普通糊が選択されることになります。普通糊は耐冷機能や再剥離機能がないため「剥がれる」「糊が残る」といった結果となりやすくなります。この現象にはちゃんと理由があり、温度条件の取り違え被着体(貼る相手)の相性が原因です。粘着には必ず

  • 貼付温度(Application Temp):貼る瞬間の最低温度
  • 使用温度(Service Temp):貼った後に耐えられる温度範囲

の2つがあり、低温環境に置く予定で選んだ強粘糊も"貼る瞬間"が5℃未満だと失敗しやすいのが典型例です。さらにPP素材や貼付対象の表面の荒さなど、選ぶべき糊の選定ポイントは多岐です。

耐水・屋外用途の素材選びは合成紙ユポ(耐水・屋外)ガイドも併読ください。

クイックチェック(まずはここから)

  • 貼る瞬間の温度は? → 5〜10℃未満なら低温用/冷凍用を検討
  • 被着体は? → PP/PE・粉体塗装・シボ面=強粘/超強粘や厚塗り系が有利
  • 後ではがす? → 再剥離指定。貼付温度・保管時間・塗装面への影響を要確認
  • 水や結露がある? → アクリル系強粘+フィルム素材+ラミの組合せを優先

シールの剥離問題についてはシールが剥がれる悩みを解決する方法を参照。

2. 用途別の推奨粘着(強粘/低温・冷蔵/冷凍工程対応/再剥離)

お客様の自慢の商品を一般消費者の手に届けるために、商品シールラベルは綺麗に貼付けされてあるに越したことはないです。そのためには糊の選定が重要であり、大枠で覚えてしまえばそこまで種類の多いものではありません。粘着の呼称はメーカーで異なりますが、考え方は共通です。

  • 普通のり:室温貼付・一般紙箱・金属・ガラス向け
  • 強粘糊 :0〜5℃貼付を想定。冷蔵庫内での貼付や、ライン上でワークが冷えているケース向け。
  • トイシ用:貼付時点が0℃未満や凍結工程を通る用途。結露→凍結の連続条件に強い。
  • 再剥離 :シールを取ることが決まっている場合。糊残りなく剥がしたい用途に向いている。

耐久・防水の基材選定は防水シールの作り方も参考に。

3. 早見表(被着体×温度×用途):PP剥がれ・冷蔵で角浮き・再剥離の糊残りを避ける

ケース 推奨粘着の方向性 目安(貼付/使用) 注意点
冷蔵ガラス瓶(結露あり) 強粘糊orトイシ用
+フィルム基材(Yupo)
貼付0〜5℃ / 使用0〜10℃ 結露拭き取り→貼付。曲面は基材の追従性も確認。
冷凍食品(凍結工程通過) トイシ用 貼付-5℃前後 / 使用-20℃級 冷凍前の一次貼付温度凍結速度で差が発生するため試験は必須。
紙箱に一時表示(剥がす前提) 再剥離 貼付10℃以上 / 使用0〜40℃ 古紙・薄コートは繊維持ち上がりに注意。長期貼付は残渣リスク増。
店頭POP(什器・塗装面) 普通のり 貼付10℃以上 / 使用0〜40℃ 店頭で並ぶシールは特に問題なし

数値は設計の目安です。実機・実材での貼付試験(後述)を前提に確定ください。

4. ヒアリング項目テンプレ(被着体・温度・水/油/結露・曲面R・工程)

  1. 被着体は何か?(材質/塗装種/粗さ):例)PPブロー容器、段ボール
  2. 貼付温度使用温度帯:例)貼付4℃、使用0〜10℃(冷蔵)
  3. 水・油・薬品・結露の有無:例)充填時に結露、油跳ねあり
  4. 曲面R・面積・形状:例)小瓶φ55、Rきつめ、肩にかかる
  5. 再剥離の要否・剥がす時期:例)1週間後に剥がす、糊残りNG
  6. 工程:充填→急冷→保管 など(凍結の有無
  7. 貼付方式:手貼り/自動(貼付圧・定着時間)
  8. 保存期間ロット管理:長期での粘着変化に注意

特に工業用で使われる場合にはシールの剥離は重要問題となる可能性があるため、弊社からのヒアリングも上記のように細かくさせていただきます。食品製品の場合も同様に、シールが剥がれることによって食品表示問題になる可能性があるため、慎重に用途をお伺いいたします。

5. 貼付試験プロトコル(最短で正解に辿り着く手順と合否基準))

どれだけ耐冷シールを制作したりや糊を強くしたシールを使う場合でも、冷蔵食品や食品瓶にシールを貼る場合には貼付試験を行うことを推奨いたします。手順は下記のように行います。

  1. 実材清掃:まずは容器を軽く拭き上げる
  2. 想定温度での貼付:冷蔵環境で貼るのか、常温環境から冷蔵環境へ移すのか。瓶では自動貼り機が推奨
  3. 定着:最低でも24時間を実際の環境に置く
  4. 環境試験:冷蔵/冷凍→常温の温度サイクル(例:10回)や結露付与して剥がれないか確認
  5. 評価:端浮き・スリップ・糊残り・印刷面の摩耗

6. FAQ:「冷蔵環境で紙がよれる」「冷蔵庫で角が浮く」「再剥離で糊が残る」の対処

冷蔵庫に入れたら角が浮きます。

貼付時に結露を拭き切れていないか、貼付温度が低すぎです。低温用粘着+貼付前の脱脂&乾拭き、角Rを大きく、面積を小さめにすると改善。

冷蔵庫から取り出すと紙がよれてきます。

糊の影響も考えられますが、紙が結露や水滴に適したものではない可能性があります。結露して紙がよれてくる場合には、フィルム素材を使った方が良いためYupo素材について確認されることを推奨します。

再剥離なのに糊が残りました。

長期貼付・低温投入・塗膜相性のいずれか。貼付→使用までの時間剥がす時期を仕様に明記し、実材で時系列テストを。

7. 発注時に記載してほしい仕様フォーマット(コピペ用)

【用途】冷蔵ガラス瓶/常温PP容器/什器POP(粉体塗装) など 【被着体】材質/塗装/粗さ(例:PPブロー、粉体塗装マット) 【貼付温度】◯℃ 【使用温度】◯〜◯℃ 【結露・水・油】有/無(具体的に) 【再剥離】要/不要(剥がす時期:例◯日後) 【形状】曲面R、貼付面積、端R設計 【印刷・表面】紙/合成紙・ラミ/ニスの有無 【工程】充填→冷却→保管 など(凍結有無) 【数量・納期】例:3,000枚/4営業日

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