1. 4つの素材について詳しくご説明
ミラーコート紙
鏡のような強い光沢が出る紙です。 表面が非常になめらかで、写真や濃色ベタも発色よく、高級感のある仕上がりになります。 化粧品・スイーツ・ギフト向けに定番。一方で、キズや指紋が目立ちやすく、 屋外や水回りではそのままだと耐水性が弱めです。 必要に応じてラミネートで保護すると傷が付かず高級感も増します。
アート紙
ミラーコートより光沢は控えめで、反射を抑えて可読性を向上させます。 印刷の再現性・コスト・汎用性のバランスがよく、食品・日用品・物流まで幅広く使われます。 写真も文字も見やすく、初めてのオリジナルラベルに最適。水や油には強くないため、 冷蔵・結露・油分の多い用途では耐水フィルムやラミ加工の併用が安心。
マットコート紙
光沢を抑えた「つや消し」タイプの紙です。 反射が少ないため、落ち着いた高級感と可読性の高さが特長。 細かな文字や成分表示、バーコードの印字が見やすく、 食品・日用品・化粧品のベースラベルに幅広く使われます。 発色はアート紙よりやや控えめですが、上品で情報主体のデザインに向きます。 耐水性は紙由来で弱めのため、 冷蔵・結露環境や油分が触れる用途ではラミネート(つや消し推奨)や耐水フィルムの併用が安心。 箔・部分ニスとの相性も良好です。
和紙
繊維感や風合いが魅力の紙で、温かみや手仕事感を演出できます。 日本酒・味噌・和菓子・工芸品など、素材感を伝えたい商品に好相性。 表面はややザラつきがあり、落ち着いた色合いに仕上がるのが特長です。 水や擦れには弱めなので、屋外・結露環境には不向き(耐水和紙やラミ併用で改善)。 箔押しとも相性良好。
2. スペック&適性の横断比較表
目安ランク:◎=得意、○=可、△=注意、×=不向き(条件付きで可)
| 観点 | ミラーコート | アート | マットコート | 和紙 |
|---|---|---|---|---|
| 見た目の質感 | 強光沢/派手め | 中光沢/汎用 | つや消し/上品 | 繊維感/風合い |
| 色再現(派手・高彩度) | 最も鮮やか | 鮮やか | 落ち着く/低彩度 | 彩度控えめ |
| 文字の可読性 | △ 反射注意 | ○ 可読性良好 | ◎ 最も読みやすい | △ 太め文字はOK、細字は△ |
| 擦れ耐性(無保護) | △ | △ | △ | △ |
| 耐水 | × | × | × | × |
| 低温・結露(無保護) | × | × | × | × |
| 箔押し相性 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ◎ |
| QR/バーコード読取 | △(反射要注意) | ○ | ◎ | × |
| コスト感(相対) | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | △(最も高い) |
この記事でご説明している素材は全て紙素材と呼ばれるものです。 紙素材は表にもあるように耐水・低音・結露環境での使用に適していません。 水分を含んでしまうと紙遷移を壊してしまい、シール自体がポロポロと剥がれ落ちてしまう原因となります。
使われる環境が防水を条件とされる場合は、 防水シールの作り方 をご覧ください。
3. 2つの用紙を徹底比較
上記比較図を確認いただくと分かるように、 ミラーコートとアート紙が似ており、アート紙とマットコート紙が似ており、マットコート紙と和紙が似ています。 2つまでは絞り込めたけど、最後の決め手が分からない...そんな場合の比較をご用意しました。
ミラーコート vs アート
ミラーコートは強い光沢が出る“艶あり”の紙で、写真や濃い色を鮮やかに見せたい時に向きます。 華やかさを演出しやすい一方、反射で文字が読みにくい場面があり、表面の傷や指紋もやや目立ちます。 アート紙は中程度の光沢で、発色と可読性、価格のバランスが良く、食品・日用品など幅広い用途に無難に使えます。 迷ったらまずはアート、艶を最優先するならミラーコートを選ぶと理解しやすいです。
アート vs マットコート
アート紙は中光沢で色がはっきり出やすく、写真入りや色面の多いデザインと好相性です。 一方、マットコートは“つや消し”で反射が少なく、 成分表示やバーコード、QRなど情報が多いラベルでも文字が読みやすいのが特長です。 発色はやや落ち着きますが、上品で落ち着いた印象になります。 色の鮮やかさを優先ならアート、可読性と落ち着きを優先ならマットコートが選びやすい基準です。
マットコート vs 和紙
マットコートはフラットで現代的、反射が少なく情報が見やすい実務向けの紙です。 ECの多SKU運用や食品・化粧品のベースに使いやすく、価格も比較的安定しています。 和紙は繊維感や温かみが魅力で、日本酒・和菓子・工芸品など“世界観重視”の演出に強い一方、 小さな文字やQRは不利ですし価格は非常に高いです。 実務安定ならマットコート、風合い重視なら和紙、と目的で選ぶと失敗しにくいです。
4. 用途別マトリクス(選定の近道)
| 用途/条件 | ミラーコート | アート紙 | マットコート | 和紙 |
|---|---|---|---|---|
| お菓子(常温) | ⚪︎ | ◎ | ⚪︎ | △ |
| 高級お菓子(ギフト感) | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| 加工食品(常温) | ⚪︎ | ◎ | ⚪︎ | △ |
| お惣菜 | ◎ | ⚪︎ | ⚪︎ | × |
| 冷蔵・冷凍食品 | × | ○ | × | × |
| コーヒー豆/情報多め | ⚪︎ | ⚪︎ | ◎ | △ |
| プリンのラベル | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| コスメ/高級感 | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 飲料 | ○ | ◎ | ◎ | × |
| お酒 | ○ | ○ | ○ | ◎ |
| ワイン | ○ | ○ | ○ | ◎ |
| 調味料 | ○ | ○ | ○ | △ |
5. 5ステップで決める素材選定(HowTo)
- 使用条件の定義:保存温度・結露・油水・使用期間、容器材質/形状・貼付工程を確定。まず紙基材で足りるかを判定。
- 表現/情報要件の整理:艶・高彩度・写真、可読性・QR/バーコード、世界観の優先度と最小文字/配色を決め、素材候補を絞る。
- 機能/耐久要件の充足:擦れ・耐水・低温/結露・再剥離等を評価。必要に応じラミ/ニス、低温粘着、可変印字方式の適合を確認。
- コスト/運用整合:ロット・SKU数、再版頻度、在庫回転、後加工費、納期/歩留まりを含む総コストで比較し、基準素材を決定。
- 試作/実環境テスト:候補2–3種を小ロット試作。実容器に貼付し温湿度・結露・擦過・油水・QR読取を検証し最終決定。
6. 失敗しやすいポイント(チェックリスト)
注意すべきポイント
- 反射でQRが読みにくい(→ マット化 or 反射角に配慮/黒枠付与/サイズ確保)
- 冷蔵庫内の結露で紙が波打つ(→ PP/マットPP、またはフィルム)
- ラベルの擦れ傷が目立つ(→ ニス/PP、輸送箱内での摩擦を想定)
- 箔面の荒れ/抜け(→ 素材選定+版圧調整、細線は避け太らせる)
- 曲面での浮き(→ 紙厚・繊維方向・粘着を含めた一体設計)
7. FAQ(よくある質問)
結局どれを選べば失敗しませんか?
目的別の早見表です。高級感・艶重視ならミラーコート。バランス良く無難ならアート。可読性・QR/バーコード重視ならマットコート。風合い・和の世界観なら和紙。※冷蔵・結露が絡む場合は紙単体は不利。保護(ラミ/ニス)やフィルム検討を。
冷蔵・冷凍、結露が出る環境でも使えますか?
紙基材は基本的に弱いです。使うならマット系+マットラミ、低温粘着の選定が前提。安定最優先はフィルム+低温粘着。和紙は原則不可、ミラー/アートも保護なしは非推奨。
写真を綺麗に見せたい/派手な発色にしたい場合は?
最も映えるのはミラーコート。反射や指紋が気になる売場ならアート、さらにマットラミで反射を抑えると実運用で安定。和紙は彩度が落ち着くため写真向きではありません。
文字の可読性・QR/バーコードの読み取りを最優先したいです。
マットコートが第一候補。反射が少なく網点も安定。アートは可、ミラーは反射で誤読リスク、和紙は地合いでノイズ増。濃度は**黒1色(K100)**推奨、余白≥ quiet zoneを確保。
コストと納期はどれが有利ですか?
目安は アート≒マットコート≒ミラーコートで和紙が高い。後加工(ラミ/箔/部分ニス)や小ロット多SKUで逆転あり。標準在庫紙で組むと納期短縮&単価安定。まずはアート/マットで試作→要件に合わせて微調整が堅実です。
8. まとめ:編集部の"使い分け"早見表
素材選びの早見表
シールラベルは素材を適切に選ぶことにより、商品のブランディングをさらに向上させるものとなります。 写真や高彩度ならミラーコート、汎用で迷ったらアート、可読性・QR重視はマットコート、世界観重視は和紙。 冷蔵・結露では紙単体は不利のため保護やフィルム基材を検討。 使用条件→表現→機能→コスト→試作の順で選べば失敗しにくいとぜひ覚えてください。