シール用紙・フィルム素材の種類と用途別おすすめ
用紙を選ぶとは「どのような素材にイラストを刷るか」を意味します。
光沢が必要ですか?紙に温かみはどうですか?透明な方が良い?など選択要素は様々あり、1つ1つの思いが”用紙”の選択であります。
ここでは、「最も一般的なミラーコート紙」「耐久性あるYupo」「透明なPET」「温かみのある和紙/クラフト紙」をご紹介いたします。
ミラーコート紙 → 特殊な環境で使わない場合に最適
特徴:短期の屋内販促向け。光沢で目を引きやすいが、水濡れ耐性は低め。印刷発色が美しく、コストパフォーマンスに優れます。
最適用途:店内POP、短期キャンペーンシール、室内装飾ラベル、お惣菜の上やちょっとした冷蔵なら剥がれません。
Yupo合成紙 → 強度が必要。特に冷蔵や冷凍環境
特徴:冷蔵・結露環境でもふやけず耐久。食品瓶や化粧品ラベルに最適。合成樹脂製のため水分を吸収せず、低温環境でも安定した性能を維持します。但し、表面がマット紙のため光沢がなく商品が際立つ効果は期待できません。
最適用途:冷蔵食品ラベル、化粧品容器、屋外短期使用、水回り製品
PETフィルム → 最高強度が必要であり、インクがある場所以外は透かしたい場合に最適
特徴:屋外・長期保管用。耐候性・耐引裂性に優れるがコスト高。UV劣化に強く、過酷な環境下でも長期間性能を維持します。
最適用途:屋外看板、工業用ラベル、長期保管商品、機械銘板
和紙・クラフト紙 → 温かみを求める場合。貼られた商品に味わいが出る。
特徴:高級感演出やエコ商材向け。マット質感で温かみを演出。天然素材の風合いが特徴で、環境配慮をアピールできます。
最適用途:高級商品ラベル、エコ製品、ギフト用シール、和風商材
用紙選びのポイント!
「普通使いならミラーコート」「冷蔵冷凍環境ならYupo」「強度をとにかく求めるならPET」「温かみなら和紙とクラフト」
冷蔵保存した後にシールが破れてしまう...などはシールの剥がれや破れを防止する方法をご確認いただくと良いです。
粘着剤(糊)の種類と選び方ガイド
糊を選ぶとは「シールの貼り付け能力値」を選択するということです。
そのため、大切なことはそのシールをどこで使うか?を正確に決めてあげる必要があります。
常温/冷蔵/冷凍のどの環境でシールを貼る予定なのか...それによって糊の選択は変わります。
ここでは、最もポピュラーな「普通糊」「強粘糊」「トイシ用糊」「再剥離糊」の4つをご紹介いたします。
普通糊(汎用アクリル系)
特徴:貼り直し少ない短期装飾向け。安価だが結露や振動に弱い。室温環境での一般的な用途に最適で、コストパフォーマンスに優れます。
適用温度:5℃〜40℃
最適用途:室内POP、一般商品ラベル、短期キャンペーンシール
注意点:低温・高湿度環境では粘着力が低下する可能性があります
強粘糊(高粘度アクリル系)
特徴:結露下や振動の多い現場で活躍。冷蔵庫内など水回りに強い。高い粘着力により、過酷な環境でも確実に固定できます。
適用温度:-10℃〜60℃
最適用途:冷蔵食品、屋外機器、振動環境、水回り製品
メリット:結露・振動・温度変化に強く、長期間の粘着力を維持
冷凍用糊(耐凍結粘着剤)
特徴:冷凍→解凍サイクルでも剥がれず、食品冷凍庫ラベルに最適。極低温でも柔軟性を保ち、温度変化による剥離を防ぎます。
適用温度:-30℃〜40℃
最適用途:冷凍食品、アイスクリーム、冷凍庫内機器
特殊機能:凍結・解凍の繰り返しに耐える特殊配合
再剥離糊
特徴:仮ラベルやイベント用に。糊残りが少なく、貼り直し自由。低粘着設計により、被着体を傷めずに剥離できます。
適用温度:0℃〜50℃
最適用途:仮ラベル、イベントシール、サンプル商品、一時的な表示
メリット:貼り直し可能、糊残りほぼゼロ、被着体を保護
糊選びのポイント!
普通糊が一番安いのでコストを抑えるには良い選択です。そのため、シールが貼られる環境で試し貼りを行い、普通糊でも十分かどうかを検証されることを推奨いたします。
ラミネート加工 / 高級感を出し傷からシールを守る!
シールラベルにラミネートをすると「シールにツヤが出る&傷に強く」なります。
食品商品は”お客様が手に取って棚に戻す”を繰り返すことも多いため、お客様の動作ごとに若干ずつシールラベルに傷が付いていきます。
商品に傷が付いてしまうとお客様の購買率に影響が出かねません...。
そのようなシールラベルに傷がついてしまうことを防止するために、ラミネートは活用されています。また、高級感も出ますので、商品ブランディングを最大限高くするためにも注目されます。
光沢ラミネート
特徴:印刷面を保護し、摩擦・水濡れに強く高級感を演出。表面の光沢により色彩が鮮やかに見え、ブランドイメージの向上に効果的です。
- 耐摩耗性:表面の傷つきを防止
- 耐水性:水濡れによる印刷面の劣化を防ぐ
- 高級感:光沢により商品価値を向上
- 発色向上:色の鮮やかさが増加
最適用途:化粧品ラベル、高級食品、ブランド商品、ギフト商材
ホットスタンピング(箔押し)で差別化する方法
金・銀・メタリック箔
視認性と高級感アップ。ブランドロゴのアクセントに最適。光を反射して目を引き、商品の価値感を大幅に向上させます。
金箔
最高級の印象を演出。高級ブランド、プレミアム商品に最適
銀箔
モダンで洗練された印象。IT機器、精密機械などに人気
メタリック箔
カラフルな金属感。スポーツ用品、エンターテイメント系に効果的
カラーホイル
企業カラーやキャンペーンカラーを美しく再現。通常の印刷では表現できない鮮やかな発色と質感を実現できます。
注意点:コストと版代
箔押し加工の注意点
- 版代:小ロット時は1箇所あたり15,000円〜の版代が発生
- 最小ロット:効果的な単価になるのは1,000枚以上から
- デザイン制約:細かすぎる文字や線は箔が乗りにくい
- サンプル推奨:テンプレート箔の活用や事前サンプル確認を
用途別ベストプラクティス:ケーススタディ3選
ケース1:食品ラベル
選定理由:用紙をYupoにすることにより耐水性を重視。糊も冷蔵/冷凍環境で剥がれないよう強粘糊を使用し、Yupo✖️強粘で剥がれを99.9%防止する。 ラミネート加工をすることで、Yupoの表面のマット紙感をなくし高級感を出す。
実績:冷凍食品メーカーで1年以上の長期使用を実現。結露・温度変化に強く、賞味期限表示も鮮明に保持。高級感もあり
ケース2:化粧品・コスメ
選定理由:ボトルに貼り後ろを透かしたいためPET紙を使用し、糊も強度を高めたものを使用。透明PETを使うことでラミネートなしでも高級感を出せる。
実績:高級化粧品ブランドで採用。店頭での注目度が向上し、ブランド認知度アップに貢献。顧客からの品質評価も高評価。
ケース3:レストラン店舗内での利用
選定理由:最も高強度といわれるコート紙を使い耐久性を最大限高く。コート紙によりシールを貼った後ろの机が透けない問題を解消。強粘により用紙だけでなく剥がれにくさも高くする。ラミネートをすることで何回拭き上げてもシールに傷が付かないようにする。
実績:レストランで机を見たお客様へのブランディング向上。待ち時間のUI/UXをより良くする。シールにはQRコードを付け効果測定も可能
特にレストランでの活用には焼肉屋などでも活用されている用紙などが大変参考になります。
まとめ&発注前チェックリスト
1. 使用環境の確認
- 屋内 or 屋外
- 温度範囲(冷蔵・冷凍・常温・高温)
- 湿度・水濡れの可能性
- 振動・摩擦の有無
2. 耐久性要件の整理
- 使用期間(短期・長期)
- 耐摩耗性の必要度
- 耐水・耐油性の要否
- 剥離のしやすさ
3. 質感・デザインの決定
- 光沢 or マット
- 箔押しの有無・種類
- エコ素材の採用
- ブランドイメージとの整合性
4. 発注時の伝達事項
- 素材名を明確に指定
- 糊タイプを詳細に
- 加工内容を具体的に
- 使用環境を詳しく説明
5. テスト発注の推奨
- まずは500枚でサンプル発注
- 実環境での性能確認
- 複数パターンの比較検討
- 本格発注前の最終調整
素材・糊・加工の組み合わせ早見表
用途 | 推奨素材 | 推奨糊 | 推奨加工 | 期待効果 |
---|---|---|---|---|
店内POP (お惣菜など) |
ミラーコート紙 (最も一般的) |
普通糊 | なし | 低コスト・高発色 |
冷蔵食品 | できればYupo (ミラーコートでも問題ない可能性も有り) |
できれば強粘糊 (普通糊でも問題ない可能性も有り) |
高級感と傷防止が必要であればラミネート | 耐結露・長期耐久 |
高級商品 | おすすめ順 PET>Yupo>ミラーコート |
普通糊 | ラミネート | 高級感・差別化 |
仮ラベル | ミラーコート紙 | 再剥離糊 | なし | 貼り直し・糊残り防止 |
エコ商材 | クラフト紙 | 普通糊 | なし | 環境配慮・温かみ |
成功の秘訣
最適なシール選びは「使用環境の正確な把握」と「実環境でのテスト」が重要。
まずは少量でサンプル作成し、実際の使用条件で性能を確認してから本格発注することをお勧めします。
次の一手:専門スタッフへの相談
素材・糊・加工の組み合わせは無数にあり、用途に最適な選択には専門知識が必要です。当社では30年以上の実績を持つ専門スタッフが、お客様の具体的な用途をお聞きして最適な組み合わせをご提案いたします。
「こんな環境で使いたいけど、どの素材がいい?」「コストを抑えつつ耐久性も欲しい」といったご相談もお気軽にどうぞ。サンプル作成も承りますので、まずはお問い合わせください。